「夢」がもつ2つの意味について、同じ単語で表さない言語はある?

「夢(sleep dream)」と「夢(aspiration)」を同じ単語で表すかどうかは、世界の言語で違いがあります。
1. 英語・西洋諸語
同じ単語で表す
まず代表例が 英語の “dream” です。
英語では古英語 drēam(本来は「喜び・音楽」)が変化して、中世以降に「睡眠中の夢」と「願望」の両方を意味するようになりました。
- I had a strange dream last night.(寝てるときの夢)
- I have a dream.(理想・願望)
現代では、この二つは語源的にも文脈的にも同じ単語です。
他にもこのパターンの言語は多く、フランス語 rêve、スペイン語 sueño、イタリア語 sogno などもどちらの意味にも使われます。
2. 日本語・中国語・韓国語
現在は同じ単語で表すことができるが、区別する語も持つ
日本語
「夢」は両方の意味を持ちますが、近代以前は「理想」の意味はほぼ無く、外来的な影響(英語の dream)で派生しました。
中国語
「梦 mèng」は睡眠中の夢が基本です。理想・願望は「理想」「愿望」「梦想」など別の表現を使います。
ですが、近年は我的梦想 = my dreamのように、“梦想”が「dream」の訳として普及しています。
韓国語
「꿈(kkum)」も両方に使われます(英語影響後の近代語)。
ただ古語では「몽(夢)」=寝ている夢、「소원(所願)」= 願望と分かれていました。
3. 分けている言語
同じ単語では表さない
ドイツ語
- Schlaftraum = 睡眠中の夢
- Traum = 通常はどちらでも使えるけれど、「Wunsch」(願い)や「Ideal」(理想)などで明確に区別する場合も多い
ロシア語
- сон (son) = 睡眠中の夢
- мечта (mechta) = 願望・理想
明確に別単語です。
フィンランド語
- uni = 睡眠中の夢
- unelma = 願望・理想
語源は同じルーツを持ちますが、意味が分化しました。
トルコ語
- rüya = 寝ているときの夢
- hayal = 想像・願望・理想
夢見る(想像する)= hayal etmek。同じ「夢」でも性質が違うものとして扱われます。